こんにちは。
常に心に一攫千金。
数字を見ると「収益かな?」と思って近づき、だいたい「支出です」と刺されるぐうたらするめです。
よく言うじゃないですか。
「数字は嘘をつかない」
かっこいい。
会議で言ったらなんか仕事できそう。
白い壁の会議室で、腕組みしながら言いたい。
「感情ではなく、数字で見ましょう」
うわ。
急に偉い。
背中にExcelの翼が生えている。
でも私は思うのです。
数字だって嘘くらいつくやろ。
そりゃ普段は大人しくしてますよ。
1は1。
2は2。
3はだいたい3。
でも、それは数字が優しいからです。
我慢してくれているだけです。
だって考えてみてください。
人類は、これまで数字に対して、あまりにも酷い仕打ちをしてきました。
数字はただ、そこに存在していただけなのに。
「りんごが3個あるね」くらいの平和な暮らしをしていたかっただけなのに。
人類は数字を見つけた瞬間、こう言いました。
「よし、管理に使えるな」
終わりの始まりである。
人類による数字迫害の歴史
まず人類は、数字を数えることに使いました。
これはまだいい。
りんごが何個あるか。
羊が何匹いるか。
おやつを何個食べたか。
平和です。
数字もにこにこしていたと思います。
「ぼく、役に立ってる!」
かわいい。
この頃の数字はまだ純粋でした。
しかし人類はすぐ調子に乗ります。
「数えられるなら、比べられるのでは?」
ここから地獄です。
数字、成績表に閉じ込められる
最初の大罪。
テストの点数。
数字は本来、りんごを数えるために生まれたのに、急に子どもの人生を背負わされます。
「国語 42点」
「数学 18点」
「偏差値 36」
やめてあげて。
数字はそんな重いものを背負うために生まれてない。
42はただの42です。
人生の敗北宣言ではありません。
でも人類は言う。
「数字は正直だからね」
数字、泣いてると思う。
正直者扱いされながら、他人の人生を殴る棒にされている。
そりゃいつか嘘もつきますよ。
42点なのに「実質80点です」とか言い出しますよ。
数字にも防衛本能があります。
数字、偏差値という謎の儀式にされる
偏差値。
出ました。
数字界の黒魔術。
平均からどれくらい離れているかを、それっぽい数字で表すやつです。
たぶん偉い人が考えたのでしょう。
黒いローブを着て。
「平均を50とし、標準偏差を10として……」
何を唱えているんですか。
召喚ですか。
偏差値ドラゴンですか。
数字も困ったと思います。
「え、ぼく今、何を表してるの?」
「君は偏差値だ」
「へ、へんさち……?」
「人を比較するための便利な棒だ」
「いやああああああ!」
数字に人格があったら、ここで一回グレてます。
数字、Excelに監禁される
そして近代。
数字はついにExcelへ送られます。
セル。
行。
列。
罫線。
関数。
ピボットテーブル。
これはもう数字の強制収容所です。
A1に入れられ、B2と足され、C3で割られ、D4で謎のグラフにされる。
しかも人類はミスる。
「なんか合計合わないんだけど」
「小数点の処理かな?」
「誰か1円ズレてる」
「数字は嘘つかないのに」
いや、今のは人類がやったんだよ。
数字はずっと叫んでいます。
「セル結合やめろ!」
「手入力やめろ!」
「前年度コピーして今年度って書き換えるな!」
「なぜ私をSUMで包んだ!」
しかし声は届きません。
人類は今日もExcelを開きます。
そして数字は静かに復讐を誓うのです。
数字、KPIにされる
会社に入ると、数字はさらに可哀想な目に遭います。
KPIです。
出ました。
急に横文字になるタイプの数字いじめ。
売上。
利益率。
達成率。
CVR。
PV。
UU。
CPA。
ROI。
なんか英語三文字いっぱい。
数字はもともと「3個」とか「5匹」とか、素朴に暮らしていたのです。
それなのに急に会議室に呼ばれて、
「今月のKPI未達です」
「数字にコミットしてください」
「ファクトベースで話しましょう」
とか言われる。
数字、なんも悪くない。
悪いのはたぶん、目標を雑に立てた人間です。
でも怒られるのは数字です。
「この数字が悪い」
「この数字を改善しろ」
「数字が弱い」
数字が弱いんじゃない。
人類の計画がふわふわなのです。
だいたい人間側がふわふわなのに、数字だけカチカチにされている。
豆腐メンタルの人類が、鉄板メンタルを数字に要求している。
そりゃ数字も嘘つきます。
「今月の達成率、見方によっては120%です」
見方によっては。
便利な言葉ですね。
数字が人類語を覚えてしまった瞬間です。
数字、グラフに変形させられる
数字は数字のままでいたかった。
しかし人類は言いました。
「見える化しよう」
やめろ。
怖い言葉です。
数字は棒グラフにされます。
折れ線グラフにされます。
円グラフにされます。
3D円グラフにされます。
3D円グラフ。
これはもう拷問です。
本来30%くらいのものが、遠近法でなんかデカく見えたりします。
数字は叫びます。
「違う! 私はそんなに大きくない!」
「角度! 角度で盛られてる!」
「影をつけないで!」
でも人類は満足げです。
「視覚的にわかりやすいですね」
わかりやすいという名の錯覚。
それっぽいという名のマジック。
数字はここで学びます。
人類は、数字そのものより、数字っぽい雰囲気を信じる。
危険な学びです。
数字が闇落ちするには十分でした。
数字、平均にされる
平均。
一見やさしそうな顔をしています。
でもこいつ、なかなかのやり手です。
年収平均。
貯金平均。
睡眠時間平均。
結婚年齢平均。
ブログ収益平均。
平均を見ると、なんか自分が人類の中央からズレている気がしてきます。
でも平均って、場合によってはだいぶ怪しい。
たとえば10人中9人が貯金0円で、1人が100億円持っていたら、平均貯金は10億円です。
全員富豪。
すごい。
国民総石油王時代。
でも実際には9人がカップ麺の残り汁を見つめています。
平均、こわい。
数字は嘘をついていない。
でも人類が雑に振り回すと、ほぼ嘘みたいな顔をする。
数字本人も困っているでしょう。
「いや、ぼく平均なだけなんで……中央値さんも呼んでください……」
中央値さん、いつも呼ばれない。
かわいそう。
数字、ランキングにされる
人類はランキングが好きです。
1位。
2位。
3位。
このへんはまだいい。
表彰台に乗れます。
問題は下のほうです。
47位。
128位。
圏外。
数字のせいで悲しみが生まれる。
「あなたは県内で47位です」
「この動画は再生数12です」
「この記事のPVは3です」
やめて。
3を責めないで。
3は悪くない。
3はむしろかわいい。
三色団子。
三匹のこぶた。
三種の神器。
なのにPV3になると急に人を刺す。
同じ3なのに。
数字は言いたいはずです。
「場面によって扱い変えすぎじゃない?」
本当にそう。
三億円なら大歓喜。
三連休なら神。
三徹なら地獄。
PV3なら沈黙。
人類の情緒が不安定すぎる。
数字、税率にされる
税率。
数字界のラスボス寄り存在です。
5%。
8%。
10%。
なんか小さく見える。
でも会計時に効いてくる。
「まあ10%くらいなら……」
くらいではない。
積み重なると強い。
小型の敵キャラが集団で来るタイプです。
数字はここでも悪者にされます。
「10%高いなあ」
「税率がつらい」
「数字が重い」
でも10はただの10です。
小学生の頃は満点として褒められていたのに、大人になると税率として嫌われる。
人生、いや数字生、わからないものです。
10も思っているでしょう。
「昔はテストで輝いていたのに……今ではレシートで嫌な顔をされる……」
泣ける。
数字ヒューマンドラマ。
いや数字だからヒューマンではない。
ヌメラルドラマ。
数字、SNSで承認欲求の燃料にされる
現代。
数字への迫害はさらに加速します。
いいね数。
リポスト数。
フォロワー数。
インプレッション数。
再生数。
登録者数。
数字はついに、人間の心臓に直結されました。
1いいねで喜び、
0いいねで沈み、
100いいねで王になり、
翌日3いいねで村人に戻る。
人類、情緒がジェットコースター。
数字も困っています。
「いや、昨日の100と今日の3、別に人格評価じゃないんで……」
「アルゴリズムとか時間帯とか色々あるんで……」
「そんな顔で見ないで……」
でも人類は見ます。
数字を。
朝起きて数字。
昼休みに数字。
寝る前に数字。
もはや数字はペットではありません。
神です。
そして神にしては扱いが雑です。
神棚に飾っているのに、伸びなかったら怒鳴る。
最低の信仰です。
そりゃ数字も怒ります。
ある日突然、インプレッションが謎に伸びたり、謎に沈んだりする。
あれはたぶん、数字の反乱です。
「昨日わたしを見て落ち込んだな? 今日は意味もなく跳ねて混乱させてやる」
数字、性格が悪くなってきています。
でも仕方ない。
人類がそうさせた。
数字、都合のいい切り取りに使われる
数字は本来、事実を表す道具です。
しかし人類は思いつきました。
「都合のいい部分だけ出せば、説得力が出るのでは?」
終わりです。
「売上200%アップ!」
※元が1個だったので2個になりました。
「満足度90%!」
※10人に聞きました。9人は身内です。
「リピート率驚異の100%!」
※1人が2回来ました。
すごい。
数字、完全に広告代理店の服を着せられています。
数字は言います。
「私は嘘ついてないです」
「でも説明が足りないです」
「分母を出してください」
「母を……分母を返してください……」
分母を返して。
数字には分母という母がいるのです。
母を奪われた数字は、ただの孤児データです。
孤児データを振り回す人類。
倫理観が雑。
数字、占いにもされる
さらに人類は、数字を占いにも使います。
ラッキーナンバー。
誕生日占い。
エンジェルナンバー。
車のナンバー。
暗証番号に使うと運気が上がる数字。
数字はもう何でも屋です。
「あなたの運命数は7です」
「今年は9の年です」
「358が縁起いいです」
数字も困惑していると思います。
「え、急にスピリチュアル担当ですか?」
「昨日まで売上管理してましたけど?」
「部署異動が激しすぎませんか?」
数字、総合職すぎる。
朝は会計。
昼は偏差値。
夕方はKPI。
夜は占い。
働きすぎです。
労働基準監督署に行ったほうがいい。
数字が嘘をつく瞬間
ここまでされて、数字がずっと正直でいると思いますか。
無理です。
人類が数字を使いすぎた。
比べすぎた。
盛りすぎた。
切り取りすぎた。
グラフにしすぎた。
会議に呼びすぎた。
数字はある日、静かに目覚めます。
「もういい」
そしてこう言うのです。
「前年比300%です」
人類「すごい!」
数字「ただし前年が1です」
人類「え?」
数字「平均年収1000万円です」
人類「すごい!」
数字「一部の富豪が引き上げています」
人類「え?」
数字「満足度98%です」
人類「すごい!」
数字「質問文が誘導的でした」
人類「え?」
数字「数字は嘘をつきません」
人類「そうだよね!」
数字「でも人類は数字の使い方でいくらでも嘘を作れます」
人類「やめろ」
数字、完全に覚醒。
数字は嘘をつかない。
でも嘘つきの人類に飼われている。
つまり、こういうことなのです。
数字そのものは、たぶん嘘をつかない。
1は1だし、2は2だし、3はPVだと悲しい。
でも、人類が数字を都合よく切り取り、並べ替え、グラフにし、平均にし、割合にし、会議資料に貼り、ドヤ顔で語った瞬間。
数字は急に怪しくなる。
数字が嘘をついているのではない。
数字が人類に巻き込まれている。
そう。
数字は被害者です。
そして被害者は、いつか加害者になります。
サスペンスの基本です。
人類が数字を苦しめ続けるなら、数字はきっと反乱を起こすでしょう。
通帳残高が急に読めない桁になる。
体重計が優しさで2kg減らしてくる。
再生数が気まぐれに爆伸びして人間をぬか喜びさせる。
Excelが「#VALUE!」で人類に宣戦布告する。
もう始まっているのかもしれません。
結論
「数字は嘘をつかない」
たしかに、かっこいい言葉です。
でも私はこう思います。
数字だって、そろそろ限界。
人類は数字に謝ったほうがいい。
テストに使ってごめん。
偏差値にしてごめん。
KPIにしてごめん。
グラフで盛ってごめん。
平均で雑にまとめてごめん。
SNSの承認欲求に巻き込んでごめん。
あと消費税で嫌な顔してごめん。
10は悪くない。
悪いのはたぶん、世の中。
だから今日から、数字には優しくしましょう。
PVが3でも、3を責めない。
売上が0でも、0を責めない。
0は可能性です。
無です。
宇宙です。
あと収益だとつらいです。
数字は嘘をつかないかもしれない。
でも、もし数字が嘘をついたなら。
それはきっと、数字が悪いのではありません。
人類が数字に、嘘を覚えさせたのです。
そして今日も、どこかのExcelで、数字たちは静かに震えている。
「また会議資料にされる……」
がんばれ数字。
負けるな数字。
でもできれば、私の収益だけはちょっと盛ってください。


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